観光・周遊のスタンプラリーは、
「どこを、どんな順で、何のために巡ってもらうか」の設計で決まります。
観光協会や自治体、観光事業者が、スタンプラリーを企画するときは、スポットを並べるだけでは、うまくいきません。目的、ルート、取得方法、特典、期間を、ひとつながりで考える必要があります。
本記事では、観光・周遊スタンプラリーの企画の組み立て方を、7つの手順で整理します。あわせて、デジタル化が向いている場面と、スマペタの導入事例も紹介します。
観光・周遊スタンプラリーの企画は、目的から決める
最初に、「スタンプラリーで、何を変えたいのか」を決めます。目的によって、スポットの選び方も、特典も、測る数字も変わるからです。
| 目的の例 | 企画で意識すること | 見る数字の例 |
|---|---|---|
| エリア内の回遊を広げる | 主要スポット以外にも、足を運んでもらう動線をつくる | スポットごとの取得数、1人あたりの平均取得数 |
| 滞在時間を延ばす | 時間をかけて楽しめる、体験型のスポットを入れる | 取得の時間帯、取得の順番 |
| 複数の施設・地域をつなぐ | 施設同士で、相互に送客できる設計にする | 施設ごとの参加者数、地域をまたいだ取得数 |
| 新しい客層に知ってもらう | 参加の入口を、手軽で、共有しやすいものにする | 参加者の年代、参加のきっかけ |
| 地域の魅力を発信する | ストーリーやテーマを決めて、スポットに意味を持たせる | 参加者数、アンケートの感想 |
目的は、ひとつに絞るのが基本です。複数あるときは、優先順位をつけておくと、後の判断がぶれません。
ルートとスポットを設計する
スポットは、「行きたい場所」ではなく、「参加者が、動線として無理なく巡れる場所」から選びます。
スポットの選び方
- 目的に合うものを入れる:回遊を広げたいなら、これまで立ち寄られにくい場所も、あえて入れます。
- 人気スポットと、そうでないスポットを混ぜる:人気のある場所を起点にして、その先の場所へ、流れをつくります。
- 移動の手段と所要時間を考える:徒歩、車、電車など、参加者の移動手段に合う距離にします。
- 営業時間や、季節による違いを確認する:休業日や、時間外に取得できないスポットが多いと、不満につながります。
- スポットの数を決める:多すぎると途中で離れ、少なすぎると、周遊した実感が出ません。期間と、移動の負担から考えます。
ルートの型
| 型 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 自由巡回型 | 好きな順で、好きな場所から巡る | 徒歩圏のまち歩き、スポットが近接しているエリア |
| 順路指定型 | 決まった順に巡る | ストーリー性のある企画、一方向の動線がある施設 |
| エリア別型 | 地域ごとにスポットをまとめ、地域をまたいで巡る | 広域の周遊、複数の市町村や施設をつなぐ企画 |
自由巡回型にして、特典の条件で動線を誘導する設計も、よく使われます。特典の設計は、後の節で触れます。
スタンプの取得方法を選ぶ
観光・周遊では、スポットが屋外に点在することが多く、取得方法の選び方が、運営の手間を左右します。主な方法は、次の2つです。
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| QRコード | 施設内、寺社、店舗など、掲示物を置きやすい場所 | 掲示物の設置と、回収の手間がかかる。QRコードが共有されると、現地に行かなくても、読み取れてしまうおそれがある |
| GPS(位置情報) | 屋外の広い範囲、掲示物を置きにくい場所 | 位置情報の許可が必要。場所や端末によっては、判定が安定しない場合がある |
スマペタでは、QRコード、GPS、QRコードに位置情報のチェックを加える方式が、基本機能として使えます。GPSで判定する距離の考え方や、QRコードとの違いは、次の記事で詳しく解説しています。

そのほか、クイズや写真など、スポットでの行動を取得の条件にする方法もあります。スポットごとに異なるミッションを設定する「ミッションラリー」も、観光施策に活用されています。
特典で、巡る動機と動線をつくる
観光・周遊では、特典の条件が、参加者の動き方を決めます。条件の例を、整理します。
| 条件の型 | 内容 | 動線への効果 |
|---|---|---|
| 全スポットをコンプリート | すべてを巡ると、特典がもらえる | 全体を巡る動機が強まる。一方で、途中で離れる人も出やすい |
| スタンプ数に応じた段階 | 3個、6個など、数に応じて特典の内容が変わる | 「あと少し」を促せる。参加のハードルも下がる |
| エリア・ジャンルの条件 | 特定のエリアやジャンルで、一定数を集める | 誘導したいスポットへ、動線をつくれる |
スマペタでは、スタンプ数に応じた特典の設定に加えて、スタンプにエリアやジャンルなどの属性をつけ、「特定のエリアで、n個以上」といった条件を設定する機能があります(オプション。条件により、別途見積もりです)。
特典の種類や、景品の選び方、景品表示法の注意点は、次の記事で解説しています。この記事では、特典を「動線をつくる仕組み」として考える点だけを押さえます。

期間と告知を決める
- 期間:長期の企画は、参加者が、自分のペースで巡れます。一方、告知を続けないと、参加が先細りします。短期の企画は、盛り上がりが集中しますが、準備と運営の負荷も集中します。
- 季節・行事との合わせ方:祭りや、イベント、紅葉・桜などの時期にあわせると、来訪の動機と、重ねられます。
- 告知の導線:スポットや駅のポスター、宿泊施設での案内、SNS、公式サイトなど、参加者と出会う場所に、参加の入口を置きます。参加の入口は、QRコードを読み取るだけにしておくと、手間がかかりません。
- 運営の体制:開催中に、スポットの掲示物や、特典の引き換えを、誰が見るのかを決めておきます。
スマペタは、アプリのインストールが不要で、QRコードを読み取るだけで、参加できます。参加のハードルを下げたいときの、判断材料になります。
デジタル化が向いている場面
紙のスタンプラリーは、手軽に始められる一方、観光・周遊の企画では、次のような場面で、デジタル化の良さが出ます。
| 場面 | 紙の場合 | デジタルの場合 |
|---|---|---|
| スポットが広域に点在する | 台紙の配布・回収の場所が、限られる | スマートフォンで、どこからでも参加できる |
| どこが回られたかを知りたい | 台紙の回収後に、手作業で集計する必要がある | 取得の記録が、データとして残る |
| 複数の施設・自治体で運営する | 台紙や、スタンプの管理を、それぞれが担う | 共通の仕組みで、まとめて運営できる |
| 訪日客にも案内したい | 台紙を、言語ごとに用意する | 表示言語を切り替えられる(多言語機能は、オプション。1言語あたり20,000円) |
デジタルスタンプラリーの全体像や、費用の内訳は、次の記事で解説しています。

効果測定で、次の企画につなげる
観光・周遊の企画は、開催して終わりにせず、次の企画に活かすところまでが、一連の流れです。見る数字は、目的に合わせて選びます。
- 参加者数と、スタンプの取得数:全体の規模を、つかみます。
- 1人あたりの平均取得数:周遊の広がりを、見ます。
- スポットごとの取得数:よく取得された場所と、そうでない場所が、わかります。
- 取得の順番と、特典までの到達率:動線の起点や、途中で離れる場所を、見つけられます。
- アンケート:数字に出ない、参加者の感想や、きっかけを聞きます。
スマペタでは、参加者の取得状況や、アンケートの回答を、データとして確認できます。アンケートの設問づくりは、次の記事も参考にしてください。

スマペタの観光・周遊の導入事例
スマペタで開催された、観光・周遊の事例を紹介します。数字は、各事例ページに掲載されているものです。
長野県150周年 デジタルスタンプラリー自治体・観光協会(長野県)県内77市町村・約200か所のスポット取得方法:GPSチェックイン期間:2026/4/21〜2026/10/20
越後川口 合流博覧会 デジタルスタンプラリー自治体・観光協会(えちご川口合流博覧会実行委員会)JR上越線・飯山線沿線の複数市町村取得方法:GPS期間:2025/10/01〜2025/11/15
宇多津1社9ヶ寺巡り自治体・観光協会(宇多津町役場)徒歩で巡れる範囲の10か所の寺社取得方法:QRコード期間:2025/10/04〜2025/11/02
長野県の事例では、スタンプ数や訪問エリア数に応じた段階的な応募条件を設けて、県内各地への回遊を促しました。越後川口の事例では、駅や地域の名所をチェックポイントにして、地域を横断した回遊を促しています。宇多津町の事例は、徒歩で巡れる範囲の寺社を、任意の地点から始められる回遊型にして、全寺社を巡った参加者に記念品を贈りました。
広大な敷地の周遊:星野リゾート トマム
約1000haの広大な敷地を持つ星野リゾート トマムは、2026年6月1日〜7月31日に、10ミッションのスタンプラリーを実施しました。参加者は約1,000名、獲得されたスタンプは約2,700個、スタンプを獲得した人の平均獲得数は約5個でした。導入前の課題は、敷地内の周遊を広げることと、ファミリー層以外へのアプローチでした。担当の方からは、「スタンプラリーがなかったら行っていなかった場所だったが、参加してよかった」というコメントがあった、と紹介されています。
取得データから、どのミッションを、どの順番で取得したかを確認でき、次回の企画の見直しにも使えると語られています。詳しくは、トマムの導入企業様の声をご覧ください。
複数の施設を、ひとつの仕組みでつなぐ:関西バラ園
近畿5府県13箇所のバラ園を、ひとつのデジタルスタンプラリーでつなぎ、広域周遊を促した事例です。3段階の景品を設定し、約5,500人が参加しました。取得データを、各施設とリアルタイムで共有した点も特徴です。詳しくは、関西バラ園の事例をご覧ください。
そのほかの事例は、次の記事と、導入事例の一覧にまとめています。

企画前のチェックリスト
- 目的を、ひとつに絞れていますか。
- 見る数字(参加者数、平均取得数など)を、開催前に決めていますか。
- スポットは、参加者の移動手段と、所要時間に合っていますか。
- 営業時間や、休業日を、確認していますか。
- スポットの取得方法(QRコード、GPSなど)を、場所に合わせて選んでいますか。
- 特典の条件は、狙った動線につながっていますか。
- 告知の導線と、運営の体制を決めていますか。
- 開催後に、データを振り返る時間を、確保していますか。